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ここ最近、情報科学がたまらなく面白い。いまさら認識したのかと思われる向きもあろうが、C/UNIX系プログラマー、ネットワーク構築、セキュリティ、業務プロマネ、そして技術ベンチャーとやってきたが、飽きもせずにやってきたのは、それぞれの時代の情報技術(Information Technology)の先端を垣間見ることができるというメリット以上に、情報科学(Information Science)へのあこがれだったんだ、ということ。

情報科学は、情報技術を実際に利用している者の視点から見た様々な問題を扱う。まず技術ありき、のアプローチではなく、まず問題(解決)に着眼するアプローチである。
情報科学 – Wikipedia

関心の根っこは、人が何かの情報に触れるとどういう行動になるんだろう?あるいは、ある行動は、どんな情報に刺激されたものなんだろう?というような、そういうこと。情報そのものをデータとして取り扱うことの楽しさ以上に、何か「効果」を発揮していくところに、非科学的と言ってもいい、人間の介在によるあいまいさとか、ゆらぎとか、あるいはイキオイのようなものが見られる。

これを「情報科学」と呼ぶのだと知ったときはとてもうれしかった!

科学ー何度も実験し、確証のようなものを得ていくプロセス。極めてあいまいな循環であり、ストックとフローの混沌である。これに「情報」というものをかけあわせてフォーカスしたものを情報科学というのであれば、とてつもなくエントロピーが高く感じる。マーケティングもファイナンスも組織マネジメントも、情報科学の適用だと思えば相当面白い。

情報技術的傾向として自分自身について考えるに、、システム屋ゆえだろうか、根深い阻害要因を認識した。たとえをあえて挙げると、直感を信じすぎてデータの隅々に向き合うのをめんどくさいと思うきらいがあること、また自分が仕組みに満足するとそこでおなかいっぱいになり、収束させる傾向があること。これは内部的阻害要因、メンタルブロックと認識した。

あれ?社会一般ってそういうのをどうしてるんだっけ?

そうこうするうち「社会科学技術論」というものに出会った。ここでは、社会的に「これでいい」つまり妥当だと思われることというものをどうやってコンセンサスを取るんだろう?という問題へのアプローチを考えるものだ。たとえば、公害規制、化学調味料の毒性、漏洩放射能の危険レベル、もっと身近に言えば、携帯電話の電磁波レベル、狂牛病対策検査など規制が明確に数値化されてるけど、どうやって決めてるんだろう?というような。

人体実験できるわけでも、何十年もかけて被害を見てから答えを出して良いわけでもない。ここに、科学的実証を前提とする科学の限界がある。また、問題解決のための新しい学説のデビューには、学会ごとに妥当性基準が異なるという構造的な問題がある。これを妥当性境界というんだそうだ。このボーダーが予想外に分厚く、クロストークがなかなかできない。実際、社会コンセンサスは科学者だけでは成り立たない。

だからといって、一般世論による意思決定でも不足だ。山崎はるかさんが群衆の叡智サミット2007のときに持ち出した話で、「これは食べられるかどうか」「この金属に毒性があるか」という問題を解決するのであれば、民衆には血であがなわれた実証をする以外にない。

何もしないわけにいかない。何か決めなきゃいけない。しかも妥当な結論にな!

そこで、社会的妥当性、組織的妥当性、経済的妥当性、科学的妥当性というそれぞれ無視できない妥当性境界を持ち出し、さあどうするよという激論をせざるを得ない。それには、微妙な変化を社会モニタリングすることも必要になる。定性的なものもなんとか定量化して分析したりしなきゃいけない。これは大きな課題である。全員に仕事があるから盛り上がる!

dankogai曰く、バランスを取るのは、あなたの仕事じゃなくてみんなの仕事だそうだが、バランスなんてものはぐらぐらするから面白いのだ。あれ、別に矛盾しないんだっけ。

それぞれの「妥当性」にうまい具合に重なるところがあればそこが合意点のドラフトになりうる。しかし、一見どこにも接点がなければ、エアポケットが生じ、へたすりゃ何年もほったらかしになりかねない。そこで、日本はどうしてるかって、他の先進国はどうしてるんだなんてところで決める傾向があると言われるが、他国がばりばりやってても華麗にスルーしてることもある。

実に面白いと思わない?

私としては、この曖昧な「情報科学」を追求する自分のへたくそな試行錯誤模様を書き残していかなければならないと思い、年末から、tech tech okdt(てくてくおかだっち)なるテクニカルフォーカスのブログを書き始めた。「テクニカル」と聞くとどん引きされる方も少なくないのだが、ここでは、この「情報科学」に重心を置きつつ、ソフトウェア技術からはじまり、社会科学、経営技術なんてのも意識して書いていこうと思う。

あえてはてなを使っているのは、テーマのなじみ感、読者の凝集性の高さかな。こういう話題は濃いところに放り込むのが正解。(不満もあるよ。不満はエネルギーなのでこれまた良い)。はじめたばかりなのに、予想以上にアクセスがあるものだね。

新年早々、tech tech okdtに、駅伝往路を見ながら書いたのをご笑覧あれ。これは、社会動向の数値化から何かの気づきをひねり出す情報科学の試みの本年の「書き初め」としたい。

1.走る人の増。(東洋大往路優勝おめでとう)
2.家計消費の改善
3.美味系消費は好調。カニ、マグロ
4.個人投資家急増ふたたび
5.お手軽海外旅行へ。成田利用は地方空港+ソウルへシフト。
6.自己に投資するサラリーマン
7.ホームレス支援施設の利用増。
8.全国的な高齢者の刑法犯増
9.中国株下落も、まだまだアクティブな中国人。日本への旅行者・日本定住者の増。そしてクレジットカード発行数激増。
10.地方での変動。人口シフト・議員年金・外国人

このご時世に右肩あがりなものを10個、必死こいて探してみた

もちろんツッコミどころ満載だ。視点さえあればネタには事欠かないはずだ。皆さんも楽しんでみられては。

本年もよろしくおつきあいくださいませ。

本年、2007年は、「OSSとイノベーション」というタイトルで、壇上に上がらせていただく機会が2回あった。いや、むしろ、オープンソースソフトウェアとイノベーションの関係をはっきり語るよう、あえて自分にその命題を課したと言っていい。おかげでいろんな勉強ができた。そして最後となる1回は今週金曜日、秋田県秋田市で登壇することになっている。

最初のものは、4月に大井町で開催された、日本技術士会の有志で開催されているIT21の会。ここには、レガシーな技術を大切にしてきた大勢のベテランと、今後のITの変革をどう捉えるかに関心の高い若い人がおられた。大勢の受講者から、目からうろこが落ちたとの感想をメールでいただいた。驚くほど高年齢の方々が多い会の中で、メールをくださった方々は、おしなべて若手で、アグレッシブでハングリーだった。もっと別の世界に目を向け、そこに自分の身を投じるべきだ、とのメッセージを述べた。それだけでそこに行って良かったと思った。

次は、6月に開催された、UNISYS BITS2007でのパネルディスカッション。筋書きとしては4月のものを踏襲し、さらにパネラーの猛者ぶりを発揮していただくシナリオで進めた。レポートも掲載されている。あえて説明すると、これは例年開催されてきた、オープンソース/Linux関連のパネルディスカッションの延長に位置づけられるもので、UNIADEX社の皆様にはおなじみのもの(ネタ?)としてご愛顧いただいている。

UNIADEX松隈さんとはかれこれ7年はこのライブをやってきた。人が変わり、会社が変わり、ビジネスモデルが変わり、市場規模も変わった。そのひとこまひとこまを毎年キャッチアップしてきたこのライブが、UNISYS BITSの大舞台のトリで開催されたのは大変意義深いことだ。高くかってくださった皆様に感謝申し上げたい。

もちろん、技術革新はかっこいいことばかりじゃない。高給が降って沸くものでもない。むしろ普通に痛みが伴う折衝の連続であり、デスバレイ(death valley)もある。それがわかっていてもそこにチャレンジを傾ける猛者がそこにいたわけで、ゲストとして生の声を発してくれた。こういう姿を見ることで、技術屋やってて良かったと思うものだね。

さて、最後に、今週、秋田県に出かけることになっている。秋田県は、私にとっては、これまで接点があった県ではない。とても寒いところだろう。しかも調べるに県の経済情勢は良いほうとは言えない。10年連続で自殺率1位。比内鶏関連での問題もあったが、おりしも2007年を表す漢字は「偽」に決まったそうだ・・・。子供たちが殺された事件の裁判もあったことが今日報道されていた。もちろん、経済指標関連の統計資料を見ても、他県に比べてITが活発とは言えない。正直、関西人泣かせの話題ばかりだ。

しかし、しかしだ。そこで、なんとかがんばってイノベーションを起こそうとしている人たちがいることは確かなのだと思う。あきた企業活性化センターは大勢の起業家を育成しようとがんばっているし、秋田市のチャレンジオフィスあきたのこのページにも、地場産業としっかり組んでがんばろうという強い息吹を感じる。NPO法人あきたITこまちは、現場で働く多くの女性たちに驚くほど的確な情報提供を行なっている。当日も来てくださるそうだ。本年度、秋田県はOSS実証実験に参加し、県の情報システムにOSS運用基盤を採用することによって、ベンダーニュートラルな管理基盤を据えようとがんばっている。

マイクロソフトはベンチャー育成プログラムに秋田を含めている。えらいな。脱帽だ。いずれにしても、難しい状況で奮闘しておられる方々に、私はなんと言えば良いのだろう?私と秋田県の皆さんとの明確な違い、それは、おそらく、視点だ。ここからはこんなものが見えます、という視点を紹介できればと思う。そして、私が学ぶつもりで多くの質問を投げかけてみたいと思う。

変化しようと思う人が変わるチャンスを得られ、それゆえに集団が変化するチャンスを得られ、そして文化が醸成されていく。ソフトウェア技術を身につけながら組織の枠組みを越えたコラボレーション文化を理解するためには、OSSはもってこいだ。仕事を取ってくる人間は、情報の伝達とコラボレーション(Web2.0、UGC)をキーワードに情報と技術の新しい流れに注目させて取ってくればいい。資金的脆弱性でさえ、イノベーションのトリガーになることは珍しいことではない。また、OSSを使う仕事でない人でさえ、コラボレーションを軸としたそのコンセプトから得られるものがある。

雪国でアツくがんばっている人に会いに行ける、師走の金曜日を楽しみにしている。

あきた企業活性化センター
OSS活用促進セミナー「進化するOSSのもたらす影響」

アウトソーシングならぬ、クラウドソーシングの話。

Wikipedia、「Crowdsourcing」より
http://en.wikipedia.org/wiki/Crowdsourcing

Crowdsourcing is a neologism for the act of taking a job traditionally performed by an employee or contractor, and outsourcing it to an undefined, generally large group of people, in the form of an open call. For example, the public may be invited to develop a new technology, carry out a design task, refine an algorithm or help capture, systematize or analyze large amounts of data.

USにはCrowdsourcing企業が着々と増えている。

不特定の群衆による、分散された知見や、あるいは労働力によって何がしかの成果を目指すものなのだけど、Crowdsourcingのポイントは主に企業が主体になり、いいだしっぺとファシリテーションを受け持つということだ。多くの解説に「安く済ませる」という言葉が散見されるが、それよりも群衆の持つポテンシャルを企業が利用するというところに着目することが重要で、インセンティブを定義しなければならないし、それは有形であれ無形であれ協力者の納得のいくものでなければならない。

観察者の観点では、Wisdom of Crowdsにはいくつかの理解すべきコンセプトがある。

1.大集団をひとつの「個」に見立てて、なにかのアクションに対する行動や変化を観察することにより活用を図るコンセプト(視覚に着目)

2.大部分の人たちにはスルーされるだろうが、中にいるはずの関心の高い人の個別の”協力”を、できればたくさん引き出そうとするコンセプト(手足に着目)

3.大多数の人たちの自発的に出される意見を集約し、それにより新たなリスクやポテンシャルを探ろうというコンセプト(口に着目)

相互に必ずしも排他的なものではなく、あくまでコンセプトと表現したのだが、成果の演出において重心がどちらにあるのかはそれぞれのサービスを見れば考察しやすい。

1.はソーシャルフィルター(social filter)に使われることが多く、それらはdel.icio.usやはてなブックマークなどのソーシャルブックマークなど、いわゆる群衆による分類すなわちフォークソノミー(folksonomy)として出現している。RSSリーダーでの登録者数にもいくらか観察できるかもしれない。いずれにしてもニッチなテーマに至るまでその動向が見えるため、単なる人気投票的な「ランキング」よりも興味深い結果を出している。

2.はLinuxをはじめとするオープンソース、Wikipedia、またFlickrのような画像アップロードサイトも見られる現象で、いずれも関心のある人同士の積極的な集まりによる協業である。ピアプロダクション(peer production)と言われる。これはルールを決めるところがキモで、それさえコンセンサスがとれれば比較的ファシリテーションしやすい。

ただし、個別の成果の良し悪しが個々のユーザにゆだねられ、それを是正させる働きをするときに見られる機能は、それはsocial filterともいえる。オープンソースにせよ、ウィキペディアにせよ、それらは知見の高い個人による「目」の集積としての機能をアテにしている。

3.は、消費者によるメディア、CGMといわれる。主にブログだ。これは端的に言って、自分の欲求とツールの機能がうまく出会うとブレイクしていくものであり、主に、誰かにファシリテーションされて書くものというよりは、おそらくは特定の人、あるいは仲間を想定して発信される目的で自発的に行われている感覚だ。

ここで、それぞれのコンセプトと、日本人の特性を考えたとき、日本社会の特異性をどうやって活かせるだろうか。

はてなブックマークは技術者にウケすぎていて「ネットイナゴ」と揶揄されるにしても、依然、動きは活発だ。del.icio.usなんてのは英語のサイトなのに、ブックマークには日本語が散見される。価格コム、じゃらんなどのクチコミもそう。評価好きな日本人にはsocial filter機能はもってこいなのかな、と思われる。

ただ、流行っているものが売れるのが現在の日本の市場であり、social fiterを演出している側とそれに乗らされている側の格差や、その影響度は過度に大きい気がする。つまり、うまく火さえつけば瞬く間に群衆は自分の意見としてというよりも、群衆の意見に相乗りする形でノリノリになってしまう。

次に、peer productionはどうだろうか。ウィキペディアは日本語が存在するし、良くも悪くもアクティブではあるようだ。オープンソースは・・・。日本人の中には海外のプロジェクトに参画して何かを作り上げるのに大きな働きをしている人は存在する。しかし、日本人のコミュニティでは贔屓目に言っても元気なほうではない。仲間社会、既得権益社会で構成される日本人の特徴がこの分野での成果に大きく出ているようだ。

ただし、人が困っているときの動きは秀逸だ。オープンソース・コミュニティについて言えば日本はユーザ会ばかりだが、その多くは初心者の質問を扱っている。Q&AサイトのOKwaveや、プログラマのためのcodeなにがしでも、質問されるととても早く答えちゃうのだ。

仲間うちのネットワーク効果や、互助関係のつながりがめちゃくちゃ大きく作用するわけだ。

では、ひとりひとりの発想や独創性は発揮されないのか?そういうのは日本人の不得意とするところではないか、と言いたいところだ。しかし、世界中のブログでもっとも多く使われている言語は日本語だそうだ。

発信はキライじゃないけどツール次第。もののカラクチ評価はとても好き。でも、みんなが好きなものは私も好き。一時間待ってもクリスピー・クリーム・ドーナツは買いたいし、なんと言われても中国野菜は食べない。でも、狂牛病騒ぎで一度は廃絶した和牛はおいしい。亀田はおもしろかったり、ひどいやつだったり、かわいそうなやつ。電通がどんだけSecond Lifeを宣伝しても、「セカンドライフ」とは老後ののんびりした暮らしのことであり、それ以上の魅力は感じられない。

・・・悩ましい。

本日の仮説。

社会的なつながりに関する欲求(マズローでいうところの三段階)がとても強い日本人は、群衆の叡智として日本人だけをグルーピングした場合、その属性はあまり拡散しにくいし、大衆の意見を尊重することによって自分を守る。つまり、マーケティングデータはとりやすいが、ポテンシャルは取りにくい。

しかし、集団の中にいるニッチなスペシャリストを引っ張り出してくることにひとたび成功すれば、ゼネラリストタイプな専門家を養成して大衆に向かってメッセージを出すよりもはるかに高いポテンシャルがある。

彼らは職業的専門家だとは限らず、主婦だったり、10代の若者だったりするが、思わず火付け役に回ることがあり、その効果も計り知れない。ただし、彼らは求められれば口を開くが、自分からは積極的に口を開くとは限らない。いや、匿名の場合にはどこかしら変わった人格で饒舌になったりする。

そうすると、どこに軸足を置いたらよいのだろう。

最初のコンセプトである「social filter」で単なる動きを見せてもらうタイプのクラウドソーシングは新たな価値を生むとは限らない。せいぜいネタのシェアにより、アクセスランキングを加速させているだけになる。

むしろ、その中にいる個人に潜在している新たな気づきを発掘することに取り組む必要がある。これは欧米社会では大衆迎合を跳ね返す文化のため、とても簡単なことに見えるのだが、日本では同じ方法ではとても難しい。

アイデアを提供しやすいわかりやすいツールと、それを出してくれるインセンティブを明確にすること、そうする仲間をいかにして作り上げるか。それには単に欧米からコピペしたようなツール、WEBサイトではだめだ。そこから日本人ならではのファシリテーションを試行する必要がある。

「日本におけるクラウドソーシング」は、脳みそに汗をかかなきゃいけないトピックだ。

群衆の叡智サミット2007まで、あとわずか。


株式会社テックスタイルは、11月1日木曜日に東京丸ビルホールにて「群衆の叡智サミット 2007」(Wisdom of Crowds Summit)を開催いたします。

WEB開発にかかわる技術者、またマーケティング戦略・ブランド戦略担当者、大学・研究機関の研究者、および企業経営者の皆様を対象としています。

http://techstyle.jp/wocs/

2007年から始まる10年の情報経済は「群衆の叡智」によって大きく変革するといわれています。ジェームス・スロウィッキー著「みんなの意見は案外正しい(原題:Wisdom Of Crowds)」に著されている数々の興味深い事実は、一部の「権威」や「専門家」による品質維持の枠組みを、「群衆の叡智」が上回ることを示しました。

しかし、それはどれほど新たな情報パラダイムをもたらすのでしょうか。いや、すでにもたらし始めているのでしょうか。消費者、社員、コミュニティの意見を集約して、正しい意思決定に活用できるほどの精度を期待できるのでしょうか。群衆の意見を「叡智」に変える「目」とはいったいどのようなものでしょうか。

このような数々の疑問を受け、私たちは、数々の企業・団体様のご支援のもと、来る11月1日(木)、WEB開発にかかわる技術者、マーケティング・ブランド担当者、大学・研究機関の研究者、および企業経営者の皆様を対象としたシンポジウム『群衆の叡智サミット2007』を開催し、公開討論会の形をとることといたしました。

セッションは3つあり、WEBの世界から見られるコンセプト、オープンソースをはじめとするソフトウェアに関する問題、そして最後には予測市場(Prediction Market)の話にまで切り込みます。この話題の論客として、珠玉のパネラー陣が集まりました。どうなることやら、わくわくしています。

座席数には限りがありますが、お誘いあわせの上、ふるってご参加ください。

http://techstyle.jp/wocs/

9月10日、UNIADEXのサイトNexTalkにて、Feature Story:U&U BITS 2007 パネルディスカッション – オープンソースによるビジネスイノベーション インパクトのある打ち手を探るが公開されました。

この記事は、本年6月7日に開催されたイベントの要旨の紹介記事です。

吉岡弘隆さん、宇佐美茂男さん、中尾貴光さん、松隈基至さん(あえて実名列挙)なんてアツイ皆さんとのしゃべり倒しのプログラムが90分。事例の話もわんさとあったんですけどね、ざっと、まとめ記事になるとロジック以外はそぎ落とされちゃうのは仕方ないかな・・・。

こういうライブは本番でサプライズが多いです。是非ご来場ください。

松隈さんはじめ、UNIADEXの皆さま、毎度毎度、勇気ある機会の提供、ありがとうございます。m(_ _)m

– o – o – o – o – o – o – o –

蛇足編:

しかし・・・

でも、写真が・・・
スマートじゃない・・・(当社比) (T T)

レコーディングダイエットの名著「いつまでもデブと思うなよ」の著者、岡田斗司夫さんのブログに掲載されたやせる前画像に激似かも?

okdt版スタート地点の記録を突きつけられたような感じになっちゃってるじゃないかorz

するとmixiで、おごちゃん曰く:
「写真ってのは、『真実を写す』って書くんだよ。」

ぐ・・・。
「ディスってんじゃねーよメーン。(- -;)」

弱い・・・。

# でも、ここで「そんなの関係ねぇ」ではダメよねw

そういえば食欲の秋だメーン。

6月7日、8日にたまたま連続して別々のイベントをやりますので告知します。OSS、Web2.0とつながりますが、こじつけると両者とも「群衆の叡智(Wisdom of Crowds)」つながりではあります。

■ 6月7日:UNISYS BITS2007トリ「OSSによるイノベーション」
http://bits.unisys.co.jp/2007/information.html#03

ミラクル吉岡さん
HP宇佐美さん
Turbo中尾さん
UNIADEX松隈さん

& わたし。

恒例ですね。もう4回目。笑顔で語る吉岡さんはここだけ。UNIADEX、UNISYS含め多くの会社に直球でメッセージを投げてきました。リピーターも多数おられるようです。

エンタープライズ(企業)、パブリックセクター(公共)の大きな流れがつかめます。

■ 6月8日 NEC eTrend2007 「Web2.0とエンタープライズ」
https://www.nec-conference.com/form/?module=conference
NEC 福岡さん
NHK 尾澤さん

&わたし。

仕込み段階ですが、今までにないメッセージを受けられるメンバーです。

NECほど大きな会社が社内SNSとなるともうひとつの小宇宙ですね。「群衆」の動きには何かのメッセージがある。日本人にとっての「群衆」は実はそれほど大勢ではない。

NHKさんがいるというのはまじでやばいです。私が特に気に入っているコンセプトは「ゼロ秒」。もう、あちこちでゼロ秒ゼロ秒言いまくっています。そのわけは・・・?どこまでそのすごさを伝えられるか心配ですが、乞うご期待。

企業のアイデアとして応用できるコンセプトがたくさんあります。

そこで、

レベル1.とりあえず(両方に)登録(無料)
レベル2.(来れるほうに)来場
レベル3.会場前列にて爆笑 (桜でいいんですってば!)
レベル4.質問コーナーで挙手(滅多に指しませんから遠慮なく!)

どのレベルまででも、ご関心に応じてぜひ。

GW真っ最中に日経新聞一面トップに掲載された、この記事。WEB版をコピペする。

無償基本ソフト「リナックス」販売で連合・米オラクルなど

 米オラクル、IBM、NECなど有力IT(情報技術)企業10社以上が無償基本ソフト(OS)の「リナックス」を日本で本格販売するための企業連合を発足させる。政府調達でリナックスの採用を促す方針が打ち出されたことに対応。オラクルが各社と契約を結んで保守を一手に担うほか、特許侵害の賠償も全面補償する。OS市場で圧倒的なシェアを持つ米マイクロソフトに対抗する。

 6月にも日本オラクルの主導で発足する企業連合は情報システムの中核となるサーバー用OSが対象になる。NECなどのほか、日立製作所、ヒューレット・パッカード、デルなど大手サーバー各社が軒並み加わる見通しだ。NTTデータなど大手システム開発会社の参加も内定している。

[2007年5月3日/日本経済新聞 朝刊]

「これ、どういうこと!?」というメールを少なからずいただいたが、私があずかりしることは残念ながらなにもない。ただ、一つの事実は、ここに列挙されている企業群の皆さんの首が、一様に横に傾いていたこと。

そんな折、本日5月9日、日本オラクル社からのニュースリリースが出た。全文をコピペする。

2007/05/09
弊社及びパートナー企業様に関する一部報道について

2007年5月3日に一部の報道において、弊社がビジネスパートナー企業様数社とリナックス販売で連合する旨の記事の掲載がございましたが、当該記事は弊社によるプレスリリース等の公に発表された内容に基づいたものではなく、推測により記事化されたものです。したがって記事中の「オラクルが各社と契約を結んで保守を一手に担う」、「参加各社は手間のかかるOSの保守をオラクルに一手にまかせる」等の記述につきましては、弊社として、ビジネスモデルとしても想定しておらず、ビジネスパートナー様各社ともそのような交渉を行っている事実はないということをここにお知らせいたします。

オラクルでは、これまでと同様、リナックスへの取り組みを世界的に強化してまいります。日本における具体的な対応は、準備が整い次第、順次発表していく予定です。

日本オラクル株式会社
広報部

この否定の仕方は勉強になる。こんな声が行間に見えたり見えなかったり。

「ちょっと、どんだけー?!日経は、自社のビジネスモデルを勝手に想定し、提携相手との連合のスケジュールまで決めてくれやがった! ・・・ まてよ、これからやればいいか?とりあえず、交渉始めてないと言っちゃえば間違いないな。」

「特許侵害の賠償に関わる事業を想定していると、よくぞわかったね・・・。びっくりして身長が3cm伸びちゃうところだった。微妙に当ててくれたから、否定する文章を考えるのに、6日間もかかったじゃないか、、、」

冗談はさておき、、、

7月の政府調達ガイドライン施行をきっかけに変化を目指すんだとすれば、それは、”護送船団”でも”ガレー船団”でもなく、”Uボート”だと思うんだよね。

この話はまた。

論理思考ツール、「マインドマップ」。これをハンドリングするソフトウェアは数々ありますが、オープンソースのFreemindは、シンプルすぎるほどのインターフェースで用途を選びません。また、Windows、Mac、Linuxをサポートしているのでユーザの環境の自由度も高いソフトウェアです。リサーチャ、エンジニア問わずマインドマップ使いには必携ツールの地位にあると言っていいでしょう。

FreeMind
http://freemind.sourceforge.net/wiki/index.php/Main_Page

Wikipedia “FreeMind”の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/FreeMind

Freemind 活用クラブ(日本語)
http://www.freemind-club.com/

私は、2005年に出た安定版の0.8.0以来、アップデートもケアしてこなかったのですが、最近このソフトにはまっているマーケの末吉師とのやりとりをきっかけにひさしぶりに見ると、2007年2月に0.9.0 beta9 が出ていました。(ダウンロードページ)

早速インストールし、ざっと見てみました。カレンダー、スケジュールなどの時系列データのハンドリング機能、MindManager形式(.mmap)の読み込み(MindManagerのほうにはFreemindを読み込むプラグインがある)など、いろいろと機能拡張、問題修正が施されているようです。

(FreemindとPowerpointのアウトラインとの連動方式を模索しているのですが、そこには直接的な打ち手は追加されていないのはちょっと残念。いい案あったら教えてください)

なにより、本アップデートの最大のインパクト印象を残すものは、アイコンデザインと起動画面です。え?そんなこと?いえいえ、ぱっと見とってもかっこよくなっているだけではないんです。

ちょっとこのページみてみてください。

Freemindのイメージを変えようって議論です。

以前の蝶のモチーフは盛り上がったマインドマップの形状を想わせました。

新しい、電球のモチーフ、しかもよーく見るとそのフィラメントの部分は蝶の形になっているところにこだわりを感じます。

Talk:Light_bulb_and_butterfly
http://freemind.sourceforge.net/wiki/index.php/Talk:Light_bulb_and_butterfly

Discussion Forums: Open Discussion
https://sourceforge.net/forum/forum.php?thread_id=1686869&forum_id=22101

それぞれに言い分があります。「電球っていいよね」「焼き切れちゃう上に「自由」というイメージのない電球なんてヤダ」「すんげーアイデアを象徴する電球っていいじゃん。だから電球も蝶もあわせたのがイイ」みたいな具合です。

それぞれが、いつのまにか「Freemindは自分にとって何か」という感覚を醸し出してくるのです。この議論、もっと盛り上がるといいなあ。

単に「広く募集」とか「投票」みたいなものはいくらでもあります。そこから一歩突っ込んで、こういうマーケティング的なテーマでアツイ議論が見られるのはOSSプロジェクトならでは、です。とっても面白い。

OSSプロジェクトはもちろんのこと、リアルのプロジェクトでも試しにこういうのやってみちゃうのはどうでしょうか。

マイクロソフトとノベルの提携に関する一人ブレスト。

Moglen教授のオープンソースライセンスとの兼ね合いなどを懸念する声もあれば、OSDLのオープンソースの重要性への評価だとか、Redhatの勝利宣言とかもあり、オープンソース関連情勢には大きな波紋を呼んだ。

しかし、この提携はマイクロソフトのオープンソースへの評価を意味しているとは言えないんじゃないか。むしろ、どちらかと言えばリスクが高まったかもしれない。(エンドユーザのリスクについてはもう少し考えたいと思う。)

今回の提携で日本での報道ではあまり表に出ない、重要性のある言葉、それは「相互運用性-interoperabilityのための提携」という部分だ。

欧州はじめ、e-Goverment戦略の中で、相互運用性を確保できる技術でないと採用することに問題があるという声は世界中で高まっている。日本もしかり。それに関してマイクロソフトに対し、もっとも厳しく、かつわかりやすい策を打ってきたのはEU政府だ。このキーワードに関連して、EU連合政府はマイクロソフトの技術の閉塞性に対し、巨額の罰金を課してきた。

この状況はマイクロソフトにとってEUはじめe-Govermentというマーケットを大幅に減じかねない巨大なリスクだ。ここで抜本的に改革されるように見える、かつ、EUの策をおさめるのにつじつまがあうような策を講じる必要があったわけだ。

マイクロソフトは、自社のアドバンテージを損なわず、欧州が剣を収められるような、そう、少なくとも相互運用性を確保できるように見えるスキームはないものかと策を練っていたはずだ。自社のソフトウエアをオープンにする以外の選択肢でなければならない。

こういう問題は、企業戦略の観点からは別に難しくない。敵陣営の適格者と戦略提携し、そこをグルーとして使えばいい。世界史、日本史上でも日本の戦国時代でも良く見られた手法だ。

Linuxディストリビューション会社との提携をグルーの役割とするという戦略として、相手はRedhatではなくSUSEというところがポイントだ。欧州出身という色もあり、欧州でのシェアも高い。しかも、傾きかけた自社ディストリビューションのマーケット拡大の動機もある。(八田氏のいうとおり、結果的にSuSEはばばくじを引いたことになるという観測もあって当然だ。)

実際、この提携は広くオープンソース陣営にとって何か情報拡大を意味するわけでもないし、たとえばGoogleのように開発力の提供を得るわけでもない。Novell SUSEとて、たいした技術提携を得られるわけでもない。むしろ、マイクロソフトに技術力を吸い取られる(5年間で35万インシデントも!)こと、双方向にパテント関連で訴訟しないことなど。

(この提携の存在そのものが、オープンソースソフトウェアにすでにパテント侵害問題があることをNovellが勝手に認めてしまったことになりはしないか?これは調べてみる必要がありそうだ。)

相互運用性のための戦略提携ということは、「オープン標準」策定プロセスにおいて、マイクロソフトの発言力を上げることにもつながるだろう。それを実装する担当としてNovell SUSE、キミががんばれよ、と札束で顔をはたかれたという構図にさえ見えるのだ。

かくして、マイクロソフトは順調に市場を広げ、欧州でのリスクをおそらくは大幅に軽減し、かたや、求心力を失いかけていたSuSEのプロモーターが増えるものの、大してオープンソース側はそれによって何かが伸びるわけではない、というオチではないか、と。

以上、オープンソースソフトウェアとマイクロソフトの構図が大きく変わったわけではなく、むしろリスクが高まったのではないかとの備忘録。

日経BP ITPro Watcher「OSSセンター談話室」というblog(?)に、「Linuxを政府標準に!? KIPAで見た韓国のOSS推進強化アプローチ」という写真つきの記事を寄稿しました。ぜひご覧ください。

今日日本HPの宇佐美さんと話したところによると、Linuxワークステーション市場はメディアではあまり注目を浴びませんが、日本でも一度に数百台単位の組織的導入例が、右肩上がりで着々と進んでいるそうですよ。問題は売り手側の、「パソコン市場だとの思い込み」による思考停止なのかもしれませんね。

道具は売り手ではなく、使う人によって成長する。ビジネスプランニングで陥りやすいパターンの一つとして覚えておきたいと思います。