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月別アーカイブ: 12月 2008

汐留のミラクルリナックス社セミナールームで開催された、高専カンファレンスで15分スピーチをさせていただく機会がありました。

ITmediaの記事「高専カンファレンスから伝播する高専生の「高専道」」

わたしのスピーチは、「Innovationと高専生」とタイトリングしました。

http://blog.handsout.jp/player/1000

変化、進歩をめざす気持ち、これはプロフェッショナルにとって最も大切な原動力だと思います。でも、残念ながらそのような人は決して多くない。自分がその少数派だと気がついたら、そのポテンシャルを活かしていこうよ、しかも徹底的にね、というメッセージを込めました。

テックスタイル・グループならびにその関係者には、偶然ですが、前のめりに楽しい激しい経験をしてきた高専卒業生が少なからずいます。きっと自分のアドバンテージを活かしやすく、さらに成長の痛みを感じられる場所なんだと思います。

# 新卒、中途いずれも、就職のご相談は歓迎していますよ。

さて、このカンファレンスで見たプレゼンテーションで、面白かったものをご紹介しましょう。

1.「Webと複雑系」june29さん

このライトニングトークでのプレゼンテーションでは、複雑系を専門にするjune29さんの軽妙なトークがありました。そこで、Webの行動で生じるロングテールのデータは、対数を底にとると右肩下がりの直線を描く、というデモがありました。はてなブックマークなどをプロットして見せていましたね。

しかし、偏りが生じないほどノンジャンルなテーマで、かつ同質性のない母数があることを前提とすると、基本的に個別の行動特性をプロットすると正規分布に近づいてくるという統計のリクツからすれば、ロングテールなグラフを、対数を底にとってプロットしなおすと右肩下がりな直線を描くのは当然です。

見所はそこじゃなくて、むしろ、その直線になるはずのものが、現実にはまっすぐではなく、若干ゆるやかなカーブを描くことがあるわけですが、なぜゆがむか、ということ。ここです。

そのカーブ度合いと集団の特性、あるいはテーマの同質性には相関があるはずだと思うんですよね。で、もっとたくさん描くことで仮説検証はできそうです。正規分布での中心からの振れ幅を経済予測では「リスク」といいますが、その直線とプロットした曲線とのずれなんかもそれを可視化するツールになるポテンシャルがあります。うわー、使えそう!

「群衆の叡智サミット」をやってきて、拡散した群衆の行動の価値は自明なのですが、集約のメカニズムはまだまだ未熟。codeなにがしも、3度目のリリースをした予測市場Predicionもことさらに盛り上がってきているところですが、もっともっとやれることがあるはずだと思っています。

2. 「高専生に大切なこと」井上恭輔(きょろ)さん

井上さんはプロコンで4年連続入賞している凄腕プログラマ。彼のその創作意欲は、常人の域を超えているように思いました。だって作るもの作るもの、大爆笑なんですからw そのプロセスで学んだことが、ソフトウェア・デザインではなく、むしろ人間の価値観とのマッチングの妙にある、というとことがツボでした。

この人の物作りからは引き続き目が離せない。

3. 「高専生 existing はてな」hxmasakiさん

ライトニングトークで登場されたhxmasakiさんは、今、はてなでバイトしてるんだそうです。インターンには一度落ちてるんだって。で、彼は材料だとか流体力学とかそっち系の専門の人だそうで、はてなで一体なにやるんだろう?と自ら思っていたら数日以内に大忙しになったんだそうな。

なんとサーバーの筐体を作ってるんだって!しかも3Dで空気の流れをシミュレーションまでして、最高のサーバを作る努力をしてる。そうだよね、材料さえあればなんだって作れますよね。わたしは電気工学科でしたけど、電気回路で演算ができるなんて学術的なことよりも、オーディオだろうがラジオだろうが、電気で動くものならなんだって作れる、ということのほうが根っこにありました。

そういう感動、忘れちゃいけないですよね。

他にも、高専の学生時代をほうふつとさせる、「高専病」のお話も面白かったなあ。女の子、少なかったものね。女子高専病も大変なんだね。神戸高専でも女性は「例外なく全員」モテモテでしたよ。なんかおかしいよね、あの現象w

まあ、冗談はともかく、高専生は常識レベルに偏りがあり、卒業してから苦労して学ばなければならないことが予想外にたくさんあります。でも、それをこなしていくだけの学習力は訓練してあるはずだし、プライドが持てるだけの経験もしてるから、がんばれるはずだ。

これが高専のプロフェッショナル育成メカニズムなんだろうと思います。

当日、児玉さんとしみじみ話したこと。「高専で学んだコンテンツそのもので社会で役にたったことなんてこれっぽっちもない。でも、経験したことから得たプロセス力は破壊力抜群だよねー」と。

新たな視点で分析するにも、ものづくりを粛々とやっていくにも、つまるところは変化と進歩を志すことだけがプロフェッショナルの価値の源泉であると思う次第です。

慢心せずに勉強と経験を積み続けていきたいものです。

イノベーションを目指す気合いの入った「ヘンなやつ」、テックスタイル・グループでお待ちしています。就職相談はもちろんのこと、まずは、一度遊びにいらしてください。

ここでそーっと言いますが、インターンも高専生は優先的に歓迎しますよ。

追伸:当日の講演の模様がニコニコ動画にもアップされました。はじめのほう、マイク握ってしゃべっちゃって音割れしてますが、すぐに改善されますので我慢して見てください。
http://ext.nicovideo.jp/thumb/sm5515719